オメガ3脂肪酸：女性におけるサルコペニアに関連した運動能力のリスク軽減に役立つ主要成分

概要

• サルコペニアとは、「生涯にわたって蓄積される筋肉の不利な変化に根ざした筋肉の病気」¹  である。2050年までに世界人口の22％が60歳以上になると推定されることから、世界的に多くの人々がサルコペニアに罹患することになる²,  高齢の女性は、サルコペニアに関連した運動障害のリスクが高い³ 。
• 最近の科学論文 では、サルコペニアを有する高齢女性の筋力に対する運動の有益な効果を高める上で、魚油（オメガ3脂肪酸のエイコサペンタエン酸（EPA）とドコサヘキサエン酸（DHA）を含む）の補給が果たす役割について検討されている 4 。
• EPAとDHA を補給することで、サルコペニアに関連する筋肉量と機能の低下をどのように軽減できるかについて、最新の科学的知見をご覧ください。
   

サルコペニアと健康への影響

⁵ サルコペニアは、高齢者に多くみられる「生涯にわたって蓄積される筋肉の有害な変化に根ざした筋肉の病気」と定義されており、世界中で最大40％の人が患っている。¹ 平均寿命の伸びにより、2050年には世界人口の22％が60歳以上になると推定され、この数はさらに増加すると予測されている。²サルコペニアの危険因子には、高齢、運動不足、肥満、関節リウマチやがんなどの慢性疾患が含まれる。 サルコペニアは、運動能力、手術成績、免疫機能を低下させ、医療費、入院期間、死亡率さえも増加させる。^6,7

^8,9 筋衛星細胞増殖の低下、炎症マーカーレベルの上昇、性ホルモンレベルの変化により、高齢の女性は男性よりもサルコペニアに関連した可動性状態のリスクが20％高い。^10,11 サルコペニアがウェルビーイングやQOLに与える影響が大きいことを考えると、この状態に対処するための栄養管理戦略の必要性は、特に女性において明らかである。

サルコペニアの緩和におけるオメガ3類の役割

オメガ3系長鎖多価不飽和脂肪酸（PUFA）であるEPAとDHAの抗炎症作用は、筋肉量を維持し、サルコペニアの発症リスクや運動能力への衰弱を軽減するのに役立つ可能性がある。¹² 魚油（PUFAを含む）の補給は、レジスタンス運動プログラムと組み合わせることで、サルコペニア高齢女性の筋力と身体能力を高めるのに有効であることが、新たな臨床研究で明らかになった。⁴ この研究では、身体トレーニングはすべての女性の筋力と筋肉量の増加に役立ったが、魚油を毎日補給した女性では、14週間にわたってピーク筋力と筋肉量の増加傾向が見られた。

研究者らは、オメガ3脂肪酸を豊富に含む魚油サプリメントの使用は、運動に対する神経筋反応を強化し、筋力と身体能力の向上に役立つと仮定している。 著者らは、筋力の最初の向上は、トレーニングの最初の数週間に起こる神経調整によるものであり、その後、筋肉量が増加することを示唆している。 つまり、サルコペニア高齢者の筋力と筋肉量を増加させるにはレジスタンストレーニングが鍵となるが、サルコペニア高齢女性におけるレジスタンス運動トレーニングの有益な効果は、オメガ3 PUFAサプリメントによって顕著に増強される。⁴

123の臨床研究の最近のメタアナリシスでも、魚油の補給が全身の筋肉量、体積、機能、筋力（特に除脂肪体重、骨格筋量、大腿四頭筋の最大随意運動能力）と正の相関があることが判明した。¹³ DHAとEPAは、疾患発症の一因となる加齢に関連した低悪性度炎症を標的とすることで、サルコペニアのリスクを低減し、進行を緩和するのに役立つ可能性がある。オメガ3 PUFAはまた、筋タンパク質合成を調節することで、筋力と機能を促進する可能性がある。¹²   EPAとDHA の補給は、したがって、サルコペニアに関連した可動性状態を管理するための、安全でシンプルかつ低コストの介入を提供する可能性がある。

疾患管理と健康的な加齢におけるオメガ3脂肪酸の可能性を探る

これらの有望な結果とともに、研究者らは、サルコペニア予防のためのエビデンスとこれらの知見の適用性を強化するために、リスクのある集団を対象としたさらなる研究と大規模試験の必要性を指摘している。 それにもかかわらず、オメガ3系PUFAの抗炎症作用は、多くの動物実験や臨床試験で確立されている。^14,15,16 サルコペニアや、認知障害、関節炎、がんなどの他の多くのヒトの疾患や状態が慢性炎症に関与していることを考えると、DHAとEPAは筋肉量の維持に大きな可能性を示している。¹⁷